Studio Radish
 
Tea Break 〜ちょっと一息〜 今 気になる商品
 [プリンター] 
 
 
   
 
2003年型 プリンタ Part2
インク構成が変わってきた両社の上位機
レッド・ブルーインクでより発色の良さを目指すEPSON
 以前の高画質機は濃いインクと薄いインクを使い分けることで、滑らかなグラデーションを表現してきた。このため多色インクは高いスペックの簡単な指標だった。しかし、インク粒子が微細化されてきて、昨年のCanon PIXUS 850iに代表されるように、薄いインクを使うことのメリット自身がなくなってきた。そこで、今年の多色インクを搭載した機種ではCanonもEPSONも濃い濃度のインクでの色数の追加をしてきている。人間の目は3種類の色受容体により色を見分けているため、三原色混色により知覚できるほとんどの色を表現できる。しかし、色を混ぜると色がくすむように、原色でない部分は彩度の高い部分で多少表現しきれない部分が生じてくるこの部分を補うために色相をずらした新たな原色を補おうというのがこの発想だ。
 このアプローチは銀塩写真、デジカメなどあらゆる分野で行われており、色彩の再現性を向上させるためには常套手段のようだ。ただし、色をRGBのデータとして扱うデジタル機器で本当にこのアプローチが大きな意味を持つのかは疑問が残る。せっかくの4番目のファクターがあってもデータ的にはほとんどの場合RGB各256階調のデータに丸め込まれてしまうためだ。色の再現できる領域を考えると、本当はRGB各値がマイナスの値も取れるようにならないといけないらしい。コンピュータの能力向上を考えれば色のデータの保存方法も階調数を含めて新しいレベルのものが必要になってきているのだろう。

色管理 〜 DPEに替わる機器としてのプリンター 〜
 今までプリンタは、どちらかと言うといかにデータに忠実な色を再現するかと言う形で開発されてきている。しかし、上のような問題を考えれば今後はデータよりプリンタの方が能力が高くなっていく。であれば、今後はドライバーによるデータより美しい印刷がプリンタの能力を差別化していくのではないだろうか。写真など色合いが重要になる印刷では、最初の印刷では満足できず写真ごとに色調節をしなおす必要があるときが多い。この辺はもっとインテリジェントにドライバーが色管理をしてくれるべきだ。もともと、銀塩写真のネガプリントでは色補正のノウハウこそが焼き付けの最も重要な部分であり、データより自然な印刷結果を目指すようなドライバーの開発がDPEに替わる機器としてのプリンタには欠かせないと思う。
 そういう意味では、さらには印刷と同時に印刷結果をスキャニングし、印刷結果を自動補正していくような機能が望まれるように感じる。そもそも、印刷結果の色合いは用紙とインクの相性などによっても違ってくる。いちいち、印刷結果を目で確認し補正しなおす今のスタイルを考えれば、カメラを搭載し自動的に色を補正するシステムは必然に思う。いったん半部程度の濃度まで印刷し、結果を確認して補正を加えて重ねて印刷すると言った具合にだ。印刷結果を常にカメラでモニタリングすれば、インクの目詰まりインク不足など印刷の失敗をその場で検知し修復することも可能だろう。さらには、ノズル単位でのクリーニングなども可能なはずだ。スキャナーの単価を考えれば、十分可能だし大きなメリットがあると思う。
インク粒子の微細化
 今年の機種ではCanon、EPSONともインク粒子の微細化はとまってる。人間の可視限界はインク量で2plと言われており、Canon、EPSONとものレベルに達しているためではないだろうか。しかし、あくまでこれは限界付近と言うことであり、事実Canonの2plは通常の濃度では肉眼で識別できる。完全な技術と言う意味ではあと一押しという感じがある。目指すは1plといったところだろうか。粒子が小さくなれば逆にインクの濃度を濃く出来る。インクの濃度が濃くなれば、インクの使用量が減り、乾燥が速くなる、用紙がふやけにくくなる、色がにじみにくくなる、インクコストが下がるといろいろなメリットもでてくる。
 事実今年のCanonの4色機は昨年までの4色系のインクBCI-3e系から6色系のBCI-6系に変更されている。BCI-6系のインクは淡色の併用を前提に通常濃度のインクが多少濃く作られているそうだ。トータルでのマッチングが、2plではこの方が良かったのであろう。これは、PIXUS 850iでのレビューで取り上げた普通紙への印字の際、高品質設定にするとインクのにじみによりかえって結果を悪くするといった現象を改善しているのではないだろうか。
顔料インクと樹脂コーティング
 この技術は今後の展開としては、絶対避けられないと言うのが今年のEPSON機を見ての感想だ。ポストレーザーと言う意味でも、大きな可能性を持ちそうだ。
既に販売した機種を成長させることは出来ないのか
 現在のプリンタはドライバの更新により多少画質が向上されることがあるとはいえ、ほとんど売ったっきりである。今までの産業構造では当たり前と言えば当たり前だったが、コンピュータの世界では逆に購入後の機能の増強が当たり前なので、少し物足りなさを感じる。ここまでの話で出ているように昨年のCanon PIXUS 850iと今年のCanon PIXUS 560iは中味は同じと言っても過言ではないものだ。しかし、インクは変更されている。これはこの方が良好だったためであろう。おそらくドライバの違いから同じインクをそのまま載せたのではよい結果を得られるはずはない。しかしインクとドライバを変更するだけで結果がよくなるのであれば、そのような道をユーザーに提供してくれてもいいのではないだろうか。例えば、今年はインクの耐候性という面でCanonはEPSONに遅れをとったが、これまでの機種で利用できるより高性能のインクを開発することも可能なはずだ。
 もしこうしたサプライの高性能化を積極的に投入していけば、買い替え需要は多少下がるにしても、買う側はメーカーのブランドに対してかなりのプラスαを持って評価するようになるのではないだろうか。もともと、収益源が主にサプライにある現在の構造ではこれも一つの手だと思う。さらにはプリンタヘッドを交換できる構造のCanonなどヘッドごとのアップグレードパッケージなどを開発しても魅力的だと思う。パソコンのCPUを乗せ換えるようなのりで、新型ヘッドをインクとセットで1万円とか現在のプリンタの低価格化を考えても魅力的だと思うがいかがだろうか。
Ryuji

■過去のプリンター関連記事
Canon PIXUS 850i 製品レビュー (掲載2002年)
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