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Tea Break 〜ちょっと一息〜 今 気になる商品
 [プリンター] 
 
 
   
 
2003年型 プリンタ Part1
昨年はCanon PIXUS 850iのあまりの出来のよさに思わずプリンタ紹介サイトを更新をしてしまった。
今年も年賀状シーズンを控え各社の新型プリンタが発売されたが、その出来はどうだろうか。プリンタでの2大勢力となっているEPSONとCanonの動向をまとめてみた。
EPSON 〜画質の更なる向上を目指した〜
 今年のEPSONは特にインクの見直しにより画質の向上を大きく進めたようだ。
特に"つよインク"で強くアピールしている印刷結果の保存性が大きなポイント。コンピュータの利用をあまり得意としないユーザーが、データのバックアップなどに自信がない場合などにはメリットがあるだろう。とくに、コンピュータを介さず直接デジカメなどから印刷できる機能を搭載したモデルになれば、こうした技術のアドバンテージは大きくなると思う。ただ、ダイレクトプリント等と呼ばれるこのような技術は今年のEPSONではあまり採用されずに、逆にCanonがその搭載ラインナップを大きく広げているのは利用者から見れば多少ちぐはぐした感じがある。
  

PX-G900 (EPSON)
 つよインクを搭載したモデルの中でも特に樹脂加工した顔料インクを使用したモデルの進歩は大きいようだ。同じつよインクのネーミングでも顔料インクの方が染料インクのものに比べ耐候性(空気や光などによる劣化に対する耐性)、耐水性などの面ではるかに優れている。今年のEPSONのモデルの中では、このインクを使用した、PX-G900が最も注目の機種に思う。
 顔料インクは染料インクと違い浸透性がないため、特殊な表面コーティングで光沢のある仕上がりになるようにしている光沢紙を利用できない。写真を印刷する用途の多い大衆機で以前のモデルではこの部分は大きな弱点だった。しかし、今年のモデルではグロスオプティマイザと呼ばれる特殊なインク(発色しないのでインクというより薬品だが)を吹き付けることにより、プリントした部分を樹脂コートする機能を搭載しプリンタ自身が光沢を作り出すことに成功している。
 写真プリントのような高いレベルでの光沢感という意味では、まだ染料系インクと光沢紙の組み合わせが一歩先に行っているようだが、逆にCDの表面や年賀状はがきなどの光沢紙を利用できない部分でも高い品質の写真印刷が可能なのは大きなメリットだ(しかし、なぜ年賀はがきや官製はがきには光沢紙が用意されていないのだろう。10円高くらいでも購入したいと思う人は多いと思うが)。
 印刷精度、耐候性、耐水性、印刷速度など以前はコストがクリアーできれば究極的にはレーザープリンタかと思っていたのだが、インクジェットの技術開発の勢いはウィークポイントをほとんど克服できてきたように思う。技術的にはまだ完成レベルではないかもしれないが、樹脂コーティングとインクジェットの組み合わせはこれからのプリンタ技術の指向性を感じる。

Canon 〜トータルでの印刷機能の向上を目指した〜
EPSONとはまったく対照的にCanonの今年のモデルはほとんどヘッド技術には変更がない。大きな変更点は900番台、800番台で給紙・排紙機構の大幅な機能強化だ。"フィーダーで普通用紙とフォト用紙の使い分けを手軽に"、"はがき両面印刷ユニットを装備できる"、"用紙カートリッジを装備できる"といった内容だ。これらは、既に業務用プリンタではある程度出来上がった技術であり、印刷を行う上で用紙をいかに上手に扱うかは使い勝手上とても大切な部分である。印刷品質にこれ以上のところがほとんど無意味なところに来たことで、次はこうしたビジネスユースで培った機能を大衆機に取り込もうというのがCanonの方向性なのではないだろうか。これは、同クラスでのビジネスユースも睨んでのことかもしれない。
 しかし、実際にはどれもホームユースではまず使わない機能のように思える。はがき両面印刷ユニットは年賀状をターゲットにすればちょっと欲しくなる機能だが、果たして送り相手それぞれに自動で、両面に違った内容を印刷する、または出来るユーサーがどれほどいるだろうか。個々に内容を自動で制御しないのであれば片面を一括で印刷したり、手差しで印刷してもほとんど手間は変わらないように思う。逆に今回の機能はホームユースで想定されそうな用紙の組み合わせのみに限られており、ビジネスユースには能力不足のように思う。今回のものでは結局は帯に短し襷に長しで、ホームユースには無用、ビジネスユースには力不足だ。あるいは正しい方向なのかもしれないが、開発の方向性が新しいものなので煮詰まり洗練されるには少しかかるだろう。
 もう一つCanonのモデルの機能強化はコンピュータを介さず直接デジカメなどから印刷できる機能を搭載だ。これはPictBridgeと呼ばれる規格の立ち上げによる影響で、まだまだ賛同しているメーカーや対応製品が限られているとはいえ、状況的には将来のスタンダードになる可能性は高そうだ。読者の皆さんには直接はあまり大きなメリットはないかもしれないが、デジカメが急速に普及しコンピュータを使用しない層にも浸透しつつある状況では大きな意味を持つと思われ、こちらはそれなりに評価できる。

総評
お勧め機種は?
 以上のように技術の進歩の度合いと言う意味では今年はEPSONに軍配を上げたい。EPSONの今年の技術の成熟度は高く、昨年大きく差を開けられたパッケージングの面でもだいぶ改善されてきているように思う。逆にCanonは昨年の高いパッケージングの完成度に比べ、上位機は新機能を盛り込むために洗練度を多少後退したように思う。しかし、そんななか実はPIXUS 560iがとてもお買い得だ。この機種は内容的には昨年の名機PIXUS 850iをマイナーチェンジしたものだ。2年目と言うことで開発コストが押さえられたためやそもそも外装などを見直したためか、Canonの一番の普及機として今年はラインナップされている。印刷結果、印刷速度、ランニングコスト、そして本体価格と、どれをとっても今年の機種の中では圧倒的なコストパフォーマンスだ。
 以上をふまえて、常に高品質の印刷を求めるならEPSONのPX-G900を、気楽に手軽に印刷することを求めるのならトータルのコストで圧倒的に優れたCanonのPIXUS 560iを私は勧めたい。
 今年のCanonはインクでEPSONに大きく水を開けられた感がある。実はCanonはここ数年同じインクタンクを使用している。ある意味インク技術が革新していないと言う証拠ではある。しかし、安易に基幹サプライを変更しないのは、サプライの入手と言う意味ではユーザーには大変ありがたい。どこでも手軽にインクを入手できる便利さは一昔前では考えられない。以前あまり普及していなかった機種を使用していた時はここに結構泣かされたものだ。こうした部分での革新のスピードは一長一短ともいえるかもしれない。ただ、Canonもこれだけの数の機種で共通化しているのだから、本当はインク価格を下げられるはずなのではないだろうか。ここの部分もちゃんと消費者に還元できれば、こうした戦略の魅力がよりユーザーに分かりやすくなると思う。
Ryuji
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Canon PIXUS 850i 製品レビュー (掲載2002年)
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